近年、神社で執り行う古式ゆかしい結婚式「神社婚」の人気が高まっています。神田うのさんや戸田菜穂さんら有名人の挙式、パワースポットブームなどの影響もさることながら、日本人の感性に響く神聖な雰囲気や和装の美が再評価されているといえるでしょう。神前婚は有名な神社でも、地元で親しまれている神社でも、ほとんどの神社で行うことができ、宗派も関係ありません。もちろん、ここ広島でもおふたりらしい神社婚が実現可能。神社婚をはじめとする和婚(和風のウェディング)に関心をもっていらっしゃる方、ご検討中のおふたりのために、経験豊富なコンシェルジュの視点で日本の美と心のかたちを今に伝える結婚式の魅力や広島近郊のおすすめの神社をご紹介しましょう。

日本では古代から森羅万象やご先祖様を神格化し、八百万(やおよろず)の神と表現される様ざまな神々を、大切にお祀りしてきました。全国に約8万社もある神社は、私たちが意識する・しないにかかわらず日本の文化や生活習慣、暮らしに深く根付いています。 結婚式の起源はイザナギ・イザナミの国生みの神話とされ、時代や身分・地域によってかたちは違えど、神々や祖霊の前で夫婦の契りを結ぶ儀式は古くからあったようです。もっとも神社での結婚式が一般に広まったのは意外に新しく、明治の半ば以降のこと。それまでは自宅での婚礼が一般的で、その家を守る神様がいらっしゃる床の間の前で三々九度の盃が交わされました。 明治33(1900)年、皇居内賢所(皇祖天照大御神をお祀りする御殿)で行われた皇太子嘉仁親王殿下(のちの大正天皇)のご婚儀が新聞等で大々的に報道されたのをきっかけに、国民から神前での結婚式を望む声が挙がり、神宮奉斎会が一般向けの「神前式」を創案。やがて全国に浸透していきました。神道には「さまざまな物事が結びつくことによって生命や活力が生み出される」とする“むすび”の概念があり、結婚もそのひとつの形とされています。現在の神前婚は、その歴史こそ110年余りですが日本古来の精神性と文化を継承したものといえるでしょう。

街中でも緑と静寂に包まれた神聖な場所 神社での結婚式の最大の魅力は、身が引き締まるような凛とした空気、厳かな雰囲気ではないでしょうか。ホテルや式場でも神前結婚式はできますが、神社の境内に漂う空気感は格別。いわゆる「パワースポット」と呼ばれる場所には神社仏閣が多いことからもわかるように、遠い昔から人々の尊崇を集め、掃き清められてきた場所は、清々しく心地いい気が満ちていますね。人生の新しいスタートを切るにあたり、ふたりの巡り合わせを感謝し、心も新たに夫婦の絆を誓い合うことが結婚式の本質。誰もが自然と厳粛な気持ちになる神社は、おふたりの門出にふさわしい舞台といえるでしょう。

■新しい家族の歴史を刻むゆかりの場所に
日本では初詣や安産祈願、お宮参り、七五三、成人式など、一年の節目・人生の節目ごとに神社に詣でる習慣が根付いています。それだけ日本人には馴染みの深い場所。ご両親があなたの健やかな成長と幸せを祈願されたように、あなたも折りに触れ新しいご家族と共にゆかりの神社を詣でることになるでしょう。親から子へ、子から孫へつながっていく感謝と祈り。そんな風に長きにわたってご縁を実感できるのも、神社ならではといえます。

■見直される伝統の和装の気品ある美しさ
白無垢に綿帽子、色打掛けや引き振袖に角隠しといった伝統の婚礼衣装の気品ある美しさ、しとやかさは、日本に生まれた女性だからこそ醸し出せる独特の世界です。紋付き袴姿の新郎の凛々しさも新鮮ですよね。洋装での結婚式があたりまえになった今だからこそ、和装の良さが見直されているのでしょう。近年話題になった有名人の和婚も、洋装に比べて地味と捉えられがちだった和装が、実はドレス以上の華やかさを見せてくれることを周知させました。華やかといえば、藤原紀香さんがお召しになった雅な十二単もひそかな人気です。中には「かつらが似合わない」と躊躇される方もあるようですが、今はかつらにもいろんなタイプがあり、アレンジもできます。プロのアドバイスを受けながらかつらと頭の形や輪郭のベストバランスを見つければ、きっとあなたも驚くほどかつらの似合う“日本の花嫁さん”になれるはずです。

■式場と比べると一般的に挙式の費用が安い
神社での挙式料(初穂料)の相場は一般的に5~10万円程度と格安。できるだけお金をかけずに、でも心に残る結婚式をしたいというおふたりには嬉しいところです。もっとも衣裳、着付け・ヘアメイク、写真、特別な演出など挙式料とは別に必要な出費もありますから、何を重視するかおふたりで話し合うことが必要です。どのような準備が必要で、どこに手配すればいいのかなど、不安なこと・わからないこと・実現させたいことは、ぜひご相談ください。神社によっては衣裳や写真、挙式後の披露宴などを含んだパッケージプランを提示している場合もありますが、おふたりのこだわりを大切するなら個別に手配した方がお得かもしれません。条件や予算を確認しつつ、両方のパターンで検討してみましょう。

■おふたりの希望に合わせて神社が選べます
広島県内には3千近い神社があります。全てではありませんが、結婚式を行える神社はホテルや結婚式場よりも断然多いのです。格式高い由緒ある神社でしたい方もいれば、親しみのある地元の神社でしたい方もいらっしゃるでしょう。神社によっては雅楽や舞※が奏されるところもあります。おふたりの希望条件、実際に行ってみて感じた雰囲気、交通アクセスなども考慮しながら、じっくりと選んでください。結婚式というといささか堅苦しいイメージですが、お祝いムードを盛り上げる独自の演出が行われたり、和装に洋髪スタイルを取り入れたり、親族だけでなく親しい友人も参列するケースが増え、より身近で和やかな挙式スタイルになってきています。 ※笙(しょう)、篳篥(ひちりき)、竜笛(りゅうてき)、琵琶(びわ)などを用いた世界最古の合奏である雅楽は、もとは大陸からの文化ですが、綿々とその体系を残してきたのは日本だけ。雅楽とは俗楽に対する「雅正の楽」という意味があり、宮廷音楽として継承され、1200年以上も形を変えることなく綿々と受け継がれています。神さまに和んでいただき、婚礼を寿ぐ意味で、舞楽と呼ばれる舞をともなった雅楽や巫女舞・神楽舞を奉奏する神社もあります。

神前式では独特の所作や決まった作法はあるものの、大切なのは厳粛な気持ちで臨むことです。式の流れについては前もって説明がありますし、式の最中も指示がありますので、臆することはありません。

<式次第の一例>

■修祓の儀(しゅばつのぎ)
式典に入る前に斎主(式を執り行う神職)によるお祓いを受けて、心身を清めます。

■斎主一礼(さいしゅいちれい)
斎主が挙式を開式することを宣言し、ご参列者全員で神前に一礼します。

■祝詞奏上(のりとそうじょう)
日本書紀や古事記にも記されている、伊邪那岐(イザナギ)・伊邪那美(イザナミ)の国産み神産みの神話に準え、斎主から神様におふたりの結婚とご両家がご親戚となる奉告をし、ご両家の幸せと繁栄を神様にお祈りします。

■三献の儀(さんこんのぎ)
新郎新婦が、三つ重ねの盃で交互にお神酒を飲み交わし、夫婦の永遠の契りを結びます。

■誓詞の儀(ちかいことばのぎ)
新郎新婦から神様に、結婚の誓いの言葉を奉読します。

・指輪交換 (ゆびわこうかん)
お祓いした結婚指輪を新郎新婦が交換します。

・玉串奉奠 (たまぐしほうてん)
新郎新婦、媒酌人夫妻、両家代表の順で玉串(さかき)を神様にご奉納します。

・親族盃の儀(しんぞくはいのぎ)
おふたりとご参列の皆様にお神酒が振る舞われます。ご親族様同士の絆・つながりをより深める儀式です。

・斎主挨拶 (さいしゅあいさつ)
斎主と一同が神前に拝礼し、斎主からお祝いの詞を申し上げます。

■退下(たいげ)
斎主を先頭に一同退場します。